2023.3.3

今更聞けない?管理者のための労務管理講座 労働時間と休憩・休日③

Q 当社は休みが週に1回しかないので、違法ではないか、と従業員から申し出がありました。どう回答したらいいでしょうか。

A 結論としては違法ではありません。労働基準法では守るべき休日として「法定休日」という考え方があります。法定休日は毎週少なくとも一回の休日を与えなければいけません。なおここでいう「毎週」とは、各1週間それぞれのうちに必ず1回は休日を設けるという趣旨です。平均で週1回ではありませんので注意が必要です。実際には、法定休日を超える休みを設定している企業も多いと思います。それ以外の休日は、会社が独自に法律基準以上与えたことになるため「所定休日」といいます。

Q ありがとうございます。さすがに週1回以上ですので法定休日は問題がなさそうですね。そうなると疑問が生じたのですが、週とは何曜日から始まるのでしょうか?会社が決めていいのでしょうか。

A これは会社が就業規則で起算日を定めることで月曜日などわかりやすい日にすることができます。就業規則に特段の定めがないときは日曜日が起算日と解されます。これは法定労働時間の算出でも1週間40時間の起算日を見るときと同じです。

Q 週1回の休みの場合、1日の所定労働時間は何時間に設定すべきでしょうか。

A 基本的には法定労働時間である週40時間を超過しないように休日を設定する必要があります。1日に6時間40分以内の実労働時間とすれば、1日400分、週6日労働で週2400分、つまり週40時間以内の労働となり、計画上は割増賃金が発生しません。ただ、実際にその所定労働時間を超過して労働した場合は25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。つまり労働時間を長くしたければ、休日数を増やす必要があります。

例えば1日8時間勤務の場合は休日2日、労働日5日でちょうど週40時間となります。

Q 休日と休暇の違いが良く分かりません。

A 「休日」とは、労働義務のない日です。「休暇」とは、したがって、休暇は本来労働義務があるのですが、一定の根拠に基づき義務を免除する日です。従って、休暇はそもそも労働日です。その為、時間外の割増賃金を計算する場合などには、年間の所定労働日数を算出しなければなりませんので、労働日に参入していきます。休日を増やすということは、年間の所定労働日数が減少することになり、1時間当たりの賃金単価はアップします。必然的に残業単価もアップします。一方、休暇の増加は年間の所定労働日数に変化はなく、1時間当たりの賃金単価、残業単価にも変化はありません。

Q 休暇には具体的にどのようなものがありますか?

A まず、法律で定められている休暇(法定休暇)があります。法定休暇には、世間で「有休」と称される「年次有給休暇」や、「産前産後休暇」などがあり、休日数など、最低基準が定められています。一方、会社が独自に定める休暇として、慶弔休暇等があり、法律上の付与義務はありません。従って有給か、無給かは会社が決定し、工夫の余地があります。

例えば、ある会社では、本人の結婚休暇は無給、親御さんの不幸時などは有給としています。不幸は突発的に起こるため、年次有給休暇では事後承認でしか対応できませんが、お祝い事は、事前に計画できるので、年次有給休暇を申請すれば対応できるからです。さらに、5日の休暇を取得する際に、元々の休日2日と重なる場合、2+5の7連休とするのか、2日を含んで5連休上限の休日とするのか、曖昧な対応はトラブルのもとになりますので、事前に定めておくとよいでしょう。

 

筆者紹介:佐藤拓哉(さとう・たくや)

株式会社アイエムジェイ 代表取締役

アイエムジェイ労務経営管理事務所 代表
厚生労働省認定 開業社会保険労務士  
東京都社会保険労務士会 新宿支部所属
パチンコ営業経験が豊富な人と組織の問題解決プロフェッショナル。

 

 

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