政府の内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局は3月7日、ギャンブル等依存症対策推進基本計画の閣議決定に向け、パブリックコメントを開始した。示された基本計画案では、パチンコ業界に対し、平成31年度中に業界において策定する依存防止対策に係る実施規程で広告・宣伝に関する全国的な指針を規定するよう求めているほか、同年度中に営業所のATMやデビットカードシステムの撤去に向けた検討に着手し、順次、撤去を推進することなどを求めている。
基本計画案によると、平成30年12月現在で約1,100店舗のホールにATMが設置され、約850店舗にデビットカードでパチンコができるシステムが導入されている。ATMにはキャッシング機能やローン機能がなく、1日3万円、1カ月8万円の利用制限が設けられているが、これを利用してパチンコが行えること自体が課題として挙げられた。
パチンコへのアクセス制限では、自己申告プログラムの周知徹底や本人同意のない家族申告による入店制限の導入を進めるとともに、18歳未満の可能性があると認められる者に対する身分証明書による年齢確認の原則化を図る。プログラムの導入店舗数は、平成30年12月末時点で2,195店舗まで拡大しているが、今後、この導入店舗を業界団体のウェブサイトに掲載し、依存防止対策が進んでいる店舗として情報発信するなど、両プログラムの普及に向けた取組みを検討・実施することを求めた。さらには、平成33年度までにウェブサイトから申込書の様式を入手できるようにすることや、複数店舗に申告する際の書類作成等の負担軽減に資する取組みを実施するとともに、顔認証システムの活用モデル事業など、申告対象者の把握を容易にする取組みについても検討することを求めている。
さらに計画案では、出玉規制を強化した遊技機の普及、出玉情報等を容易に確認できる遊技機の開発・導入では、改正規則の経過措置が終了する平成33年春までに、改正後の規則に適合する遊技機に全て入れ替えることなどを求めているほか、自助グループを始めとする民間団体等に対する経済的支援、パチンコ依存問題に詳しい専門医等の紹介、リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)の相談体制の強化及び機能拡充のための支援、「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」による依存防止対策の強化、依存防止対策に係る実施規程の制定、業界の取組について評価・提言を行う第三者機関の設置、遊技産業健全化推進機構による依存防止対策の立入検査、営業所の管理者の業務に関する運用状況の確認とその改善など、多岐にわたる項目が盛り込まれている。
意見募集は3月26日まで。基本計画では、長期的な視点を踏まえつつ、平成31年度から平成33年度までの概ね3年間を各施策の取組み対象期間と想定している。
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